年末年始休み最終日が午前中快晴予報だったため、前日からの車中泊で夏山で行った木曾駒ケ岳に行ってきました。
ここはロープウェイで行けるので安全ですが、雪山では難易度が上がります。
それでもまだロープウェイ利用なので、行きやすい山です。
夏のバス待ちに比べるとかなり登山者は少なく、確か前回は4台目ぐらいだったはずだが、到着がギリギリになったにもかかわらず始発バス2番目の臨時便に乗れました。
ただ夏と違い連続でバスは出発せず2,30分後の出発になりました。
結果としてまた遅れてのスタートになりましたが、西穂の件があるのでトレースがついているほうがいいと思い、ちょうどよいスタート具合です。
千畳敷カールに到着してからトイレを済ませて準備をして登山スタート、すぐに先行者に追いつきました。
スタート時は快晴でしたが、だんだんガスが発生して濃くなってきました。
千畳敷カールの上りも雪で夏道はすべて埋まっているためコースなどトレースのみの状態で直登でのコースのみとなっており、自在に抜いていける状態です。
そのためすぐに追いつき追い越してしまったのですが、カールを登り切ったあたりの宝剣山荘あたりですぐに荒天となりました。
振り返ればもう1人しか見えません。
まだ下にいたとは思いますが、ガスで見えません。
ここで以前に登頂した事がある山だったので、痛恨のミスを犯しました。
GPSを確認せず、小屋の方に向かって歩き、装備を整え、間違えて宝剣岳のほうに一人で向かってしまいました。
この時点で気が付いていません。
今までの雪山よりは本格的な山で、赤岳のように雪が積もると足場がすべて埋まってコースが以前と変わって見えると想定していたため、うっすら見える山頂に向けて薄いトレースを頼りにひたすら進みました。
右に巻いていくように進み、鎖場が多いなとは思いながら雪山なのでこのくらいの難易度なのであろうと思いながら、アイゼンの前爪で蹴りこみつつトラバースしたり、鎖場や岩を使って3点支持で登頂していきました。
登れても下れるかを考えながら登っていたので、そろそろ下山がピッケル1本では危ないかなと思うように感じてきたので、鎖場を過ぎて山頂のすぐそこまで来た時点で念のためにGPSで確認をしたところ、宝剣岳を登ってしまったことに気が付きました。
登った経験があり、単純なルートのため、また油断していました。
視界がほぼない状態なのとかなりの寒さもあってスマホが止まってしまうといけないと思い、スマホにハチキンカイロをつけてハードシェルのポケットに入れたまま温存していたのです。
これまでにスマホの電源が勝手に落ちた事があったので。
宝剣岳のコースはトラバースで滑落即死な箇所もあり、何より雪も新雪で柔らかく岩とのミックスでピッケル1本では3点支持出来ない箇所があり、かなり危なかったです。
下山時、雪不足のためアイゼンを蹴りこみにくい箇所もあり、慎重なクライムダウンで降りました。
風が強くなければ問題ないかもしれないですが、厳冬期強風時の宝剣岳は一般雪山登山レベルでは辞めておくほうがいいと思いました。
下山してから、この山は通常装備で登るべきでない事を知りました。
宝剣山荘まで戻り、木曾駒ケ岳に向けて改めて登りましたが、小屋より北では帰りも含めてほとんど登山者を見なかったので、相当数登っていたが宝剣山荘で撤退している人が多そうでした。
木曾駒ケ岳の山頂手前も視界はなく、トレースは風で吹き飛んでいたのでGPSで適時確認しながら登頂しました。
寒いので即下山です。
山頂でようやく登山者に遭遇しました。
山頂にいた人がやはり寒さでスマホの電源が落ちて写真が撮れないと嘆いていました。
これを想定していましたが、そのためスマホを都度出してGPSで確認ができません。
厳冬期荒天時の環境でスマホのバッテリーを守りながら運用する方法を再検討しておく必要がありそうです。
スマホの操作スティックを忘れてしまったので、グローブを外しながら位置確認、操作を行うしかありませんでした。
ブラックダイヤモンドのソリストを使っていたので、スマホを直接操作できません。
雪山ではスマホケースの交換も含め、忘れないように注意が必要です。
千畳敷カールまで戻ってきましたが、まだガスで下の方は見えませんが、途中で2人登ってきている登山者がいました。
正直、この天候でこの時間から登るのは無理ではないかと思いましたが、小屋が避難小屋対応になっているのかもしれない、テントを張り宿泊する予定なのかもと思い、挨拶だけして下りました。
登っているペースや装備から、問題なく対応できる冬山経験者にしか見えなかったのと、とても元気よく挨拶されて登り続けていたため、特に引き止めませんでした。
帰りは新雪なので一部尻セードで降りたため、楽勝でした。
初めての尻セードでしたが、トレースを消さないように避けてできるようなところはあまりなさそうです。
やるならこの千畳敷カールがベストなのではないでしょうか。
ついでに複数パターンでの滑落停止の訓練も行ってきました。
千畳敷駅まで戻ると、ホテルのレストランにはかなりの人がいました。
もう景色も見えないのですが、せっかくなので休憩していると思われます。
少しゆっくりしてから最終に近いロープウェイで降りたのですが、さすがにもう登ってくる人はいませんでした。
天気がよさそうだったのでハードシェルパンツでなく山道の冬用パンツを選択したが、稜線に出てからは寒かったです。
上下ともにハードシェルで行くほうがよかったです。
このパンツはYouTubeでよく紹介されており、雪山登山に使えると案内されてはいますが、厳冬期稜線以上の厳しい環境ではハードシェルや雨具のアウターがなければ単独では使えないと思います。
アイテムについての考察も経験が溜まってきたので、自分の情報整理のためにもまた書いてみたいと思います。
熱線入りゴーグルをアマゾンで買って試しましたが、電源ケーブルがすぐ風で外れて、全く使い物になりませんでした。
ケーブルを補強、加工する必要ありますが、結果的にはすぐ転売しました。
厳冬期、荒天時の装備をよく考えて組み直しする必要あると思いました。
ゴーグルは凍結すると使い物にならないので、2つ持っていき、ザックで復活させながら運用する必要があるかもしれません。
または熱線入りゴーグルの価格と評価の高いものを再購入するかになります。
色々と学びがあったので、次回からの参考にするために詳しくまとめておきました。
帰宅後、この日の夜に2人遭難者が出て、翌日救助されたニュースを見ました。
雪洞を掘って夜をしのぎ、翌日朝に救助されたそうです。
山頂から降りる際に出会った人は千畳敷カールで見かけた2人だけ。
おそらくその方たちが遭難されたと思われます。
常念岳で見かけて経験した遭難したと思われる大学生2人の事を覚えていましたが、早く下山しなければ危ないかもしれないという事でいっぱいだったのかもしれません。
挨拶だけでなく、この先もガスで山頂近くはほぼホワイトアウトなので難しいですよと、おせっかいでも声だけはかけるべきでした。
ただ停滞していなかったので、今回は自己責任で登頂を目指している分、やむを得ないと考えます。
それでも次回からは、嫌われて、通りすがりに悪口を言われても、危険と思われる方には一言だけおせっかいなおっさんになろうと思います。
これで1人でも助かるのであれば、安いものです。
まだ登山2年未満の経験しかありませんが、もう遭難したかもしれない人に2回遭遇しているのですから。
GPS03:28 山行2:57 休憩0:31
距離4.3km 上り514m 下り525m
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