前月に悪天候で丸山手前で撤退していたので、リベンジ山行となります。
あれから1ヵ月も経っていないのですが、リベンジで行くなら厳冬期に行きたかったので、天候がよく、今度は西穂山荘に宿泊するので予約も取って万全に準備しました。
雪山登山において、一般道の中では西穂高は一つの最高峰らしいです。
1日目は悪天候ですが、2日目がてんくら、やまてん共によいコンディションだったため、小屋泊にして2日目に備えました。
1日目が悪天候でも西穂山荘までは前回のさらに悪天候の状況でもラッセルで到達できたので、1日目を宿泊地までの行程のため午後出発にしておけば逆に問題ないと考えました。
また1日目でしっかり降雪していれば、2日目に週末で登山者が多い日を狙えばトレースがあるか、一緒に登る登山者もいる可能性が高いので。
高速道路も朝から出発のため問題なく穂高ロープウェイまで到達しました。
昼からのロープウェイ利用なので、がら空きです。
前回はロープウェイ降りてすぐラッセル開始でしたが、昼からのスタートのためトレースがしっかりあり、1時間もかからずに西穂山荘に到着しました。
この日はゆっくり休み、しっかり寝て翌日に備えました。
2日目を朝ごはん抜きにして早朝からアタックするか悩みましたが、この先からは未踏の地になります。
ヘッデンを使うより、日が登ってからのほうがいいと判断して、朝ごはんを食べてからアタックしました。
朝食抜きにして早朝から準備、登山開始している宿泊者が多く驚きました。
夕食が2回転で朝食時は1回転+空席ありなため、この空席分が朝食抜きです。
余談ですが、朝食スタートの時間まで、お湯の提供がありませんでした。
これだと早朝から朝食抜きでアタックする人はお湯を提供してもらえない事になり、前日の夕食時にお湯を購入しても12時間以上軽く経過してしまう事になります。
前日のお湯提供だと、翌日はただの水になっているはず。
この小屋では小屋内でバーナー使用を禁止しているため、早朝アタックの人は夜明け前-20℃ぐらいの室外環境でバーナーを利用してお湯を作って持参する必要があったはずです。
冬季は小屋から西穂高岳山頂まで風を避けてバーナーを使えそうな場所がないので、バーナーの利用はこの小屋前からロープウェイ駅までの間のみになると思います。
実際、外の荷物置き場のあたりでバーナーを使ってお湯を作っている人がいました。
これはこれで危ないと思うのですが。
朝食前にお湯を求めてスタッフに詰め寄っている人たちが何人かいましたが、お湯が準備できていませんと説明して対応しておられました。
この日は支配人不在の日に当たっていたのも不運だったのかもしれないし、お湯の提供は朝食以降と決まっているのかもしれないが、詰め寄っている人たちの気持ちも理解できます。
何のために朝食抜きにして準備しているのかと怒っている人もいました。
WEBで公表されていないが、西穂山荘ではお湯はレストランで100ml単位60円、500mlで300円で販売されています。
お湯の温度は再沸騰機能のないポットでの提供のため、それほど高温でなく白湯ですぐ飲める程度の湯温でした。
そのためお湯を購入してもカップラーメン等に数時間後そのまま使用する事は出来ず、厳冬期なので白湯としていただけるだけでとてもありがたいが、飲む専用にしか使えないと思います。
どちらにしても外は寒いので食事には使いにくいが、白湯としてのみ使用するのとでは前提が違ってきます。
独標折り返しなら行動食もほぼ不要なので問題ないと思うが、行動時間が長くなるなら持参する食事はこのお湯の問題を踏まえて選択する必要があります。
長々と書きましたが、行程が長い雪山を進むにはお湯は死活問題です。
水は凍ってしまうし、前述ですがこのルートは悪天候ならバーナーはほぼ使えません。
冬季、水は自動販売機でのペットボトル販売。
また19時までの販売と自動販売機に記載がありました。
この小屋の飲物は他の小屋より安く良心的です。
食事も比較的安いと思います。
お湯の問題だけは、解決して欲しいと思いました。
朝、ポットにお湯を入れて、玄関口に置いておくだけなので。
ここにコイン入れを設置しておけば、この小屋を利用する人、このルートを歩く人ならちゃんとお金を入れてくれると思います。
軽いハイカーはさすがにここまで来ないと思います。
スタートから全行程でアイゼンは必要です。
チェーンスパイクは最初から持参していません。
独標以降、ヘルメット+ピッケルに変更しました。
テン泊装備でなく、重量もなかったため、トレッキングポールも不要だったと思います。
西穂山荘からのルートについては、丸山までは視界があれば誰でも行けると思います。
独標までも問題ないですが、チェーンスパイクで独標まで登っている韓国人パーティーがいました。
前を登っていたのですが、目の前の人のチェーンスパイクが切れており、外れていました。
急いで登って声を掛けました。
下山の際に注意したほうがいいですよと声掛けしましたが、英語があまり分からないようだったので理解されているかわかりませんが、一応つけ直しはされていました。
さすがに独標より先は進まれなかったので大丈夫と思いますが、この時期にアイゼンなしでここまで上がってくるのにはびっくりです。
さすがにアイゼンなしはこのパーティーだけでしたが。
独標までは登りが渋滞気味でした。
独標でほとんどの人が引き返します。
この先は数人しか進んでいませんでした。
独標から先に降りる場所の足場が見にくい箇所があり、ルートも2つトレースがついていたので迷っている人も多いのかなと思いました。
片方が登りルートだったのかもしれないですが、どちらでも使えるルートなので迷いと思います。
雪が柔らかくアイゼンが効かないので、足を置きにくい箇所が1ヶ所あったぐらいです。
手でしっかり岩をホールド出来るなら、全く問題ないルートなのですが、恐らく宝剣岳を経験していたので楽勝に見えたと思います。
西穂高岳に近づくと休憩している場所でお互いにアタックする方同士3人で一緒に登頂する事になりました。
全員ソロの方です。
西穂高山頂直下は3点支持が効きにくいというよりピッケルがない手でもつ場所がパウダー雪の状況もありましたが、慎重に進み登頂できました。
3人で山頂で称え合い、写真撮影を行いました。
こんな経験も初めてです。
やはり撤退を経験しているからだと思います。
聞けばお二人のうち一人も独標までで2度撤退されているとの事でした。
風やロープウェイの縛りがなければ、いつまでもここで過ごしたいと思うほど、素晴らしい景色と感動でいっぱいでした。
私はまだゆっくり山頂で撮影して過ごしたかったので、山頂でお二人とは別行動になり、一人で少しゆっくりしてから下山しました。
西穂高山頂直下の斜面にトレースがあったので登りは楽でしたが、下山時は風でトレースが消えてきてました。
10分か15分先に歩いただけの先行者2人のトレースがもう消えている状態です。
下山開始直後ですが、雪が締まっていないパウダーのためアイゼンが効きにくい上、雪で岩が隠れていたため、アイゼンをひっかけてしまい一度片方のアイゼンが外れました。
クライムダウン時に前爪で蹴りこむ際に岩にひっかけて外れましたが、蹴る前に問題ないか軽く踏み込み確認する必要がありました。
スキル不足のため、さらに訓練が必要です。
先週の宝剣岳に比べれば総じてそれほどの難易度ではなかったですが、八ヶ岳や他のメジャーな雪山よりは雪庇を避けるルートファインディング、巻いていくコース取り、岩と雪のミックス登攀など、総合的にスキルが必要な箇所もあり危険なため、独標までにしておく登山者がほとんどな理由も納得です。
独標より先は別次元の山行になります。
西穂高岳は皆さんにおすすめですとは言えない山です。
気候、状況等検討してから、撤退を常に念頭に置いて、十分にトレーニングを積んでのち、ぜひこの稜線を見に来て欲しいです。
日本にこんな山があるのかと思うくらい、周りの全てが雪山です。
自分の歩いたルートが見返せるので、これもまた感動的です。
今回登頂に成功したのはここまでのトレーニング、経験だけでなく、安全、確実に西穂高岳登頂を狙ったので日帰りにせず、2泊目に明るくなってからアタックにしていたからだと思います。
ただ次回からは登山者が多い日ならもう少し早くスタートしてカメラでの撮影時間をもっと取るほうがいいかなと思いました。
非常に天気に恵まれたので撮影にかなり時間を取りましたが、一眼レフと動画撮影機材を持ってくるべきでした。
独標でかなりの人が撮影を行っていました。
初めて独標に行きましたが、装備さえしっかり準備すれば誰でも登れて、あの風景を見れるのは素晴らしいです。
山小屋宿泊者がかなりいたのも納得です。
撮影の事を考えると丸山や独標からでも、十分すぎるほどいい写真が撮れます。
1日目に頑張って機材を西穂山荘まで運び、山荘に撮影機材と最小限の装備以外はデポしておき、1日目の午後に撮影を行って山荘に戻り宿泊、翌日三脚をデポして一眼レフだけ持って西穂高岳にアタックする事ができます。
次回はテン泊で挑戦してみたいです。
今回、道具についても学びがありました。
ピッケルの使い道がないほど雪が柔らかく、岩をつかむ箇所が多かったですが、対策は2本ピッケルを持つしかないでしょう。
ここは考えものですが。
また寒がりのため、厳冬期はBDのソリストを含めて3枚重ねでグローブを使用する事がほとんどですが、操作性が悪く引っかかりが小さい岩などをつかみながら3点支持で移動するのはかなり難しい、というか出来ないケースがあります。
ピッケルが効くなら問題ないのですが、1本のピッケルだと3点支持で移動は出来ないので、どうしても片方の手で岩のような動かない箇所をつかむ必要があるが、支点を作れない箇所があります。
トレースも1ヶ所のみで同様の箇所についているのでルートに問題があるようにも思えません。
という事は雪に埋もれた小さな岩を掴んで支点にしているですが、操作性の悪いグローブだとしっかり掴めないのです。
テムレスを予備で持っていましたが、正直なところ雪の状態や斜度によっては①薄いグローブ+保温材入り2枚目グローブ+テムレス中綿なし、②薄いグローブ+テムレス中綿ありの組み合わせで行動する方が安全な気がします。
登山ショップではテムレスは予備ならいいが、テムレスでは登山は~とあまり積極的な意見を言われないが、本当にそうだろうかと考えさせられます。
ビジネスなので安価なテムレスばかり売れては困るのは分かるのですが、その特性をきちんと説明すべきなのではないでしょうか。
どこの登山店にもテムレスはほぼ取り扱いはしています。
これが物語っているような気がします。
中綿ありテムレスは一旦濡れると帰宅まで乾かないので、①の組み合わせで2番目のグローブを保水しないタイプか軽くて保温材入り、出来ればスマホ操作可なタイプで準備しておくほうが厳冬期登山には向いている気がします。
BDソリストとBDグリセードでアウターグローブを2通り持って行く事が多かったのですが、今後は1ペアはテムレスにしておくか、テムレス並みに操作性のいいアウターグローブがあれば検討したいです。
-20℃近い外気温に対応しているグローブは中綿入りのため操作性が総じて悪いので岩場を登るには向いていないが、これもまた実験してみないと分からないです。
グローブは奥深いなと思いました。
ルートファインディングが一番問題ではあるのですが。
GPS06:54
1日目 山行0:55 休憩0:00
2日目 山行 4:20 休憩1:13
距離8.1km 上り920m 下り935m
ロープウェイ営業時間 冬季 8時~16時半
https://shinhotaka-ropeway.jp/
西穂山荘 テン場予約不要
http://www.nishiho.com/
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